ソーシャル・キャピタル研究会(2024年7月25日(木)19時30分~21時 Zoom開催)
講師:日下部元雄・株式会社オープンシティー研究所代表取締役所長
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本年2月からは社会関係資本の規定要因について1年がかりで考えていきます。7月は日下部元雄先生から、ご高著『若者の貧困を拡大する5つのリスク:その原因と対応策』(2023年刊、晃洋書房)に基づいてご講義をいただきます。同書は第2回日本社会関係学会賞・優秀賞を受賞されています。なお、4月13日のJASR政策研究フォーラムでもご講演いただきましたが、今回は社会関係資本とその規定要因の観点からご講義をいただきます。


演題:「若者の貧困の根源的原因を探る:若者世代で社会関係資本に何が起こっているのか?」

【ご高著の概要 晃洋書房HPより】(稲葉陽二先生作成)
本書は、これまでの社会調査で捉えにくかったホームレスやひきこもりがちな人々をも調査することができるコミュニティー・カルテ(CCS)調査法を独自に開発。いじめ・不登校・孤独など世代間の変化を分析することで、どのようなリスクが貧困へ結びつくのか、それを防ぐ要因とは何かをデータに基づき総合的に明らかにした。日英両国に共通した「どうして多くの若者が希望を失い、孤独・孤立、貧困になってしまうのだろうか」という問題について、9都市7000人の生活史データから明らかにした。 若者の貧困拡大に最も大きく影響を与えるものとして「しかるしつけ」「父親との接触が少ない」など幼児期からの親子関係を確認。これまでの親世代の貧困が教育格差を生み、貧困の連鎖へとつながるといった定説に対して新たな視点を提供している。問題解決のためには、幼少期の近隣の友人や大人等との接触(社会関係資本)が、不登校、引きこもりなど発達期の問題行動を大きく低下させることも確認され、今後の家族関係・地域活動の活性化を考えるうえで重要な示唆を与えている。


【講師ご略歴】
学歴
1968年 東京大学理学部数学科卒業,
1970年 東京大学大学院理学系研究科数学科修士課程修了,修士(確率過程論)
1972年 米国エール大学留学経済学部博士前期課程修了,経済学修士

職歴
1970年大蔵省入省(主計局)、財政金融研究所総括主任研究官,大臣官房財務官室長,金融市場室長(金融市場の自由化の推進)、
1991年 欧州復興開発銀行ソ連局次長
1994年 銀行局参事官,国税庁国税審議官、1998年世界銀行副総裁
2003年 スタンフォード大学デジタルビジョン・フェローシップ・プログラム客員研究員
2003年-2009年 欧州復興開発銀行(EBRD)・総裁特別顧問
欧州復興開発銀行,総裁特別顧問(東欧諸国の知的産業クラスター創りの技術支援),立命館アジア太平洋大学客員教授(National Innovation System 実証研究指導)、
2011年-2013年 ロンドン大学University College London、Environment Institute 客員教授、
2009年 オープン・シティー・ファウンデーション(英国法人)をロンドンで創設,
2013年 日本に帰国し,(株)オープン・シティー研究所設立.


【参加者の皆さんへのメッセージ】
今回の発表は、CCS調査が、これまでの貧困調査の限界を乗り越えて、貧困の根源的な原因を幼児期迄遡って明らかにし、一人一人異なる生活経験上のリスクパターンに対応し、自分自身の強み要因を見出し、育て、近隣関係のソーシャル・キャピタルを活用した地域サービスを育て一人一人違うリスクへの対応策を見出すことができるシステムを創る第1歩を皆様と共に考えていければと考えております。


参加申し込み方法

申込みフォームから事前申込みをお願いいたします。
ご入力いただいたメールアドレス宛てにZoomの招待URLをお送りいたします。

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