近藤克則会長の「科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)」の受賞について
このたび,本学会の近藤克則会長が令和7年度「科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)」を受賞されました。
こちらは,我が国の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究又は開発を行なった者が対象となっています。
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_01503.html
なお,受賞の内容は次の通りです。
○健康格差縮小に向けた社会疫学研究
ユネスコ「科学と科学的知識の利用に関する世界宣言」(1999)で科学者が立ち向かうべき課題として健康格差が取り上げられていた。しかし平等幻想が残っていた日本では、健康格差は小さいと信じられ、健康格差の実態や生成メカニズムの理論・実証研究も初期段階で、対策が必要という社会的合意はなく、政策による対応もなされていなかった。
本研究では、延べ100万人の高齢者の大規模データベースを構築し、日本における健康格差を実証し、対策の必要性を2000年から発信し続けた。またソーシャル・キャピタルなど健康の社会的決定要因や健康格差の生成メカニズムの理論・実証研究や地域介入の評価研究などを重ね、自治体や国の健康・予防政策の根拠となる科学的な知見を提供してきた。
本研究により「健康日本21」に「健康格差の縮小」やソーシャル・キャピタルなどが加えられ、介護予防政策におけるハイリスク戦略からポピュレーション戦略への転換を促した。
本成果は、高齢化が進む国内外でエビデンスに基づく政策形成を促進し、健康格差の小さい健康長寿社会の実現に寄与することが期待される。
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