大阪大学大学院(修士課程・博士課程)でNPO/NGO研究を志す方へのご案内

 大阪大学大学院国際公共政策研究科(Osaka School of International Public 
Policy, OSIPP)においてNPO/NGO研究で学位取得を目指す方に、大学院入試などに
ついてご案内させていただきます。
 大阪大学では、1994年に独立大学院としてOSIPPを創設し、創設時から 
NPO/NGOに関連する大学院レベルの教育・研究体制を整備してきました。OSIPPは、日 
本におけるNPO/NGO教育のパイオニアとして、この分野で最も充実した大学院プログ 
ラムを持ち、修士号だけではなく、博士の学位も積極的に授与しています。OSIPPで 
は、様々なディシプリンや社会経験を持ったスタッフと学生が研究を行っており、出 
身大学・出身学部も極めて多岐にわたります。
 我々は、過去10年以上にわたり「NPO研究フォーラム」を主宰・運営しており、 
日本NPO学会の事務局もOSIPPに置かれております。2002年度には学内に 
「NPO研究情報センター」を設立して、研究・教育体制の拡充を図っております。さら 
に、米Johns Hopkins大学、韓国延世大学など海外の有力大学との連携を強化してお 
り、OSIPPは国際NPO/NGO研究ネットワークのアジア・太平洋ハブの一つになりつ 
つあります。
 OSIPPの大学院コースの入学試験は、研究計画書に基づく面接試験と筆記試験 
からなります。筆記試験は英語だけであり(TOEFL570点以上、CB-TOEFL230点以上また 
はTOEIC780点以上の方は免除)、専門科目の筆記試験はありません。今年度の入学試 
験は、2003年9月7日(日曜日)【2004年4月入学の博士前期課程および2003年10月入学 
の博士後期課程対象】および2004年2月7日(土曜日)【2004年4月入学の博士前期課程 
および博士後期課程対象】に実施されます。
 OSIPPの研究・教育の内容については、まず公式ホームページ 
(http://www.osipp.osaka-u.ac.jp)をご覧いただき、出願資格、出願方法など入試 
についての詳細は、OSIPP教務第四掛(電話:06-6850-5612, 電子メイル 
kyomu@osipp.osaka-u.ac.jp)までお問い合わせ下さい。さらにご質問がある場合に 
は、yamauchi@osipp.osaka-u.ac.jpまで電子メールをいただければ私が個別にお答え 
します。

大阪大学大学院国際公共政策研究科教授
(NPO研究プログラム担当)
山内直人
 
【FAQ】しばしば寄せられる質問にお答えします。 

Q:博士後期課程からの入学はできるか?
A:もちろんできます。現に、多くの他大学の修士課程修了者がOSIPP博士課程 
(後期課程)に入学しています。しかも、修士号をもってなくても、すでに論文など 
を公刊している場合など、修士と同等以上の学識があると認定されれば、後期課程へ 
の出願資格が得られます。詳しくは、出願要項をご覧下さい。

Q:東京など遠隔地に居住したまま学位取得は可能か?
A:博士後期課程の場合は必要単位が8単位しかないため十分可能であり、特にNPO 
に関する講義やセミナーは、比較的週末に集中しているので、遠隔地から通うことも 
できます。受講科目にもよりますが、1年目は年間15回前後、2,3年目は年間8回程度阪 
大に通う必要があります。伊丹空港が近いこともあり、現に東京在住の方で学位を取 
得したり、在籍中の方は多数おられます。また、実質的な論文指導自体は、インター 
ネットをフルに活用すれば、在宅の形で受けることもできるでしょう。一方、修士課 
程の場合は、2年間で30単位を取得しなければならないので、ほぼ毎週阪大に通うこと 
が必要があり、場合によってはかなりの交通費負担になることを考慮すべきです。

Q:社会人が仕事を続けながらOSIPPに入学することは可能か?
A:博士後期課程の場合には週末をうまく使えば十分可能です。博士前期課程の場合 
は、週末だけでなく平日も1〜2日は大学に通うことが必要になりますので、勤務先 
の理解が前提となるでしょう。なお、社会人が入学する場合でも、受験に際し会社や 
上司の承諾書などは一切必要ありません。これはあくまで受験者と勤務先との問題で 
あり、OSIPPは関知しないという立場です。

Q:どんな科目が開講されているか?
A:OSIPPは、阪大の経済学部と法学部が母体となって設立された独立大学院で 
すから、ディシプリンとしては、経済学(基礎から応用まで)と法・政治学関係(国 
際法など)が中心です。2002年度のNPO/NGO関係クラスとしては、「非営利組織論」 
「NPO研究フォーラム」(以上日曜日開講)「プロジェクト演習(NPO研究)」(土 
曜日開講)「NPOマネジメント」(夏休み集中)などが開講されております。これらと 
関連して、公共政策、高齢化と政策評価などの科目が開講され、また、NPO/NGOなどへ 
のインターンにより単位を取得することも可能です。

Q:講義や演習を見学することはできるか?
A:基本的にウエルカムです。事前に山内にご相談ください。なお、オープン・キャン 
パスも年2回程度実施しており、案内はOSIPPホームページに掲示されます。

Q:スタッフは充実しているか?
A:広い意味でNPO/NGOに関連する研究・教育を手がけている常勤スタッフとして、辻 
正次*(IT、ネットワーク)、黒沢満(軍縮法)、山内直人*(公共政策、NPO)、 
村上正直(人権国際法)、星野俊也(国際関係)、鈴木亘*(医療福祉介護)、本間正 
明*(経済学研究科所属、公共経済学)、齋藤慎*(経済学研究科所属、財政・公共政 
策)、福重元嗣(経済学研究科所属、計量分析)、浅田孝幸(経済学研究科所属、非 
営利会計)などがおります。また、川北秀人氏*(客員助教授、NPOマネジメント)、 
田中敬文氏*(非営利組織論)、跡田直澄氏*(公共経済学)などにもクラスを担当し 
ていただいております(*はNPO学会メンバー)。なお、吹田キャンパスにある大学院 
人間科学研究科では、ボランティア研究に関連する講義が開講されており、OSIPP所属 
学生も一定限度まで単位取得が可能です。

Q:どのようなアプローチが可能か?
A:これまでのところ、経済学・経営学や法律・政治学の手法を用いて学位論文を書 
く方が多いですが、歴史学、社会学などのアプローチで論文を書くことももちろん可 
能です。ただし、どのようなアプローチを採用する場合にも、統計分析などの基礎知 
識が不十分な方には、関連科目を履修していただくことを推奨しています。

Q:どのような人が、どのようなテーマで学位を取得しているか?
A:NPO研究情報センターの文献データベースに、NPO/NGOに関連したテーマで学位 
を取得した方の一覧がありますので、下記サイトをご参照ください。
http://www.jipps.org/npocenter/reserch.htm
これまでに、中川幾郎氏、初谷勇氏、田中弥生氏、目加田説子氏、澤山利広氏、小塩 
隆士氏などがOSIPPで博士号を取得しており、また多数の方が修士号を取得して 
おります。

Q:入学料・授業料は?
A:入学料が282,000円、授業料が年間520,800円です。なお、OSIPPでは、リ 
サーチ・アシスタントやティーチング・アシスタントのポストが豊富で、報酬を得な 
がら研究を続けている学生が多数います。また、NPO研究情報センターでは、優秀 
な大学院生を有給の研究員に任命し、各種研究プロジェクトに参画してもらっていま 
す。もちろん、日本育英会などの奨学金を受けている学生も多く、経済状態や学業成 
績に応じて授業料の免除を受けることもできます。

Q:就職は?
A:いうまでもなく、日本では修士や博士の学位は良い条件の就職をただちに約束す 
るものではありません。しかし、この分野の学位を持った研究者や実務家への需要は 
増加しており、今後とも増加するものと期待しています。海外のNPO/NGOでは、修士号 
や博士号を持っている上級スタッフが多数働いており、また国際機関などでは、学位 
取得が就職やフェローの申請の条件とされることが多いので、国際化時代において学 
位を取得することの意義は小さくないでしょう。